(簡単な解説:総合心理学部ホームページ)
[http://www.ritsumei.ac.jp/psy/column/21/]
機能的アサーションを理解するには,まずは「機能」ということばを理解する必要あります。
「機能(function)」とは,働きや効用のことを言います。
多くの場合,アサーションは,「率直」であることが重要とされています。
つまり,思ったことをそのままの「形」で表現することが重要なわけです。
「機能」という視点に対し,従来のアサーションは「形体」に注目していると言えるでしょう。
ここでの「形体(topography)」とは,笑顔と怒った顔,直接的な言葉と間接的な言葉といった静的なものの見方です。
一方「機能」とは,結果として相手が動いてくれる,結果として気持ちが伝わる,といった動的(ダイナミック)なものの見方です。
機能的アサーションは,もともとの「アサーション」の概念を保持しながら,次の2つの枠組みを援用することで生まれました。
三田村・松見(2009)では,次のように機能的アサーションを定義しています。
「話し手がある課題達成の必要性に迫られた状況下で、当該の課題をより効果的に達成し、かつ聞き手との関係性の維持・向上を最大限果たす対人コミュニケーション」(p. 258)
この機能的アサーションの定義であれば,「率直」以外の様々な自己表現をアサーションと認めることができるため,アサーションの概念がより柔軟で効果的なものになると期待できます。
機能的アサーションに基づくアサーション・トレーニングには,現在,「発達障害児の保護者向けアサーション・トレーニング」というものがあります。
このトレーニングでは,ABデザインという効果検討の方法によって,プログラムの有効性が示唆されています。
詳しくは,三田村・松見(2009)をご参照ください。